2016年7月14日木曜日

企業を樹に例えたら

立教大学グローバル・リーダーシップ・プログラム101(GLP101)では、
クライアント企業から頂いた課題にチームで取り組み
そのプロセスを通してリーダーシップを学びます。
去る7月9日は、7クラス28チームの中から予選を勝ち抜いた7チームが
今期のクライアント企業であるオリックス役員と社員の方々を前に
プレゼンテーションを行う「本選」でした。

今期受講生たちが取り組んできた課題は
「ダイバーシティを活かした新たな働き方や人事の仕組みを提案せよ」。
というもの。

従来の、営業利益に直接結びつくことを狙いとした
ビジネスプランの提案でなく、人事の仕組みを提案するという
学生にも私たちにとってもハードルの高いテーマでした。
しかしながら、受講生たちは膨大な資料を読み、疑問を投げかけ
仲間で話し合い、それぞれが創造的な提案を完成させました。

本選までを終えた今、受講生たちは、
これからの企業活動において鍵となる
とても大事な課題解決アプローチ法を学ぶことができたと実感しています。

それは具体的にどういうことか。企業を1本の樹に例えて説明します。
(オリックスさんではなく、一般的な企業の話をしています)

樹になる実は、企業が提供する商品です。これまで
多くの企業が主に顧客のニーズや市場に対応した実をつける事に
エネルギーを注いできました。

しかし、少子高齢化、環境問題、人権問題など、社会的課題が
早いスピードで深刻化・複雑化するこれからの社会において
樹は、大気(社会全体)、水(構成員)、土壌(組織文化やコミュニティ)、
他の生体(顧客や他の組織)との連鎖など、生態系全体を考慮せずに
健康に成長し続けることが難しくなっています。

これまでありがちだった表面的なCSR活動等でなく
組織内にある課題を見つめ、体内の健康を増進すると共に
周囲にある課題を丁寧に拾い、需要を顕在化しながら
他の生体と共に豊かな環境をつくっていく姿勢は
企業だけでなく、今後あらゆる組織に求められるでしょう。

今回のGLP本選の最後、オリックス取締役の髙橋秀明さんが
このようなことを言われていました(一言一句同じではありません):

「イノベーションとは新結合だが、テクノロジーとテクノロジーだけを
掛け合わせるのではなく、人間の本質的なところに迫った解決を試みる
そういう若い力を育てて欲しい」

これを先ほどの樹の例を用いて表現するなら、自分や他の組織が付けた
実と実を安易に掛け合わせて新しいものをつくることへの
警笛ではないでしょうか。

今期の授業で、経営効果を生む
「ダイバーシティを活かした人事の仕組み」について検討を重ねた
受講生たちは、環境や組織を脅かさず、活かしながら活動し
結果的に生態系に良い循環をもたらすような企業活動とはどのようなものかについて
理解を深めたと感じます。

15週間伴走してきたマラソンのような授業も
来週で終わりです。ちょっと寂しいです。









0 件のコメント:

コメントを投稿