2016年12月29日木曜日

グローバル市場を狙うベトナムの6次化産品発見!?

ホーチミン市内にある「アンナム・グルメ・マーケット」は、世界各国商品が手に入る、高級食材店。12月から1月にかけては旧正月のギフト販売が行われており、ショーウィンドウには華やかにラッピングされた品々がディスプレイされています。



そして店内では、訪れたお客さんが店員さんと商品を選んだり、たくさんの店員さんがラッピング作業に追われています。ちなみに、お一人が1件に費やす予算は4,000円〜20,000円程度なんだとか。

そんな店内で目に留まったのが、ベトナムの6次化産品ともいえる、国産を売りにした「顔の見える」商品たち。パッケージは英語表記で、店内
に並ぶヨーロッパのお菓子やお茶と肩を並べても違和感のない洗練されたものになっています。完璧に外国人や富裕層をターゲットにした商品であることが見て取れます。


中でも特に目を引いたのが、「Vietnam Delights 25 Authentic Tea Collection」。ベトナム各地で採れた紅茶、緑茶、ハーブティーなど(アーティチョーク茶までも!)を25種類集めて、写真家によるそれぞれの地域の写真を施したパッケージに収め、「ベトナムお茶地図」も付いています。特にオルガニックの商品ではないようですがお値段は、125gで2,300円程度(アマゾンでは約4,000円)。魅せ方でブランディングに成功しています。これなら、冒頭の写真にあるラッピングされたギフトセットに入れ込んでも違和感ないと感じます。



で、同じ店内の日本食コーナーに目を向けると・・・・。こんな感じです。


まずギフトコーナーに日本のものはなく、日常使いの食材コーナーの狭いスペースに、日本でもおなじみの商品が並んでいました。日本のギフト文化は十分成熟していると思いますし、国際空港には外国人をターゲットにしたジャパンブランドを前面に出した商品が所狭しと並んでいますが、国境を越えるのは簡単ではないのですね。日本にだって、こだわりの生産方法や美しい生産環境を誇る商品が山ほどあります。それらが先ほどのベトナムのお茶商品のように、グローバル市場を意識した本気のブランデイングを行ったらどんなインパクトが生まれるのでしょうか?妄想するだけでワクワクします。





2016年12月25日日曜日

ベトナムの禁欲的クラッカーに見える可能性

原材料は、玄米(62%)、ほうれん草(35%)、ベジタブルオイル、塩だけという超硬派なクラッカー。揚げてなくて、添加物ゼロで、グルテンフリー。そして100g入りでなんと130円程度ときたら、「小腹が空いてもコンビニで買うものがない」と嘆く健康志向の方には願っても無い商品では無いでしょうか。これら、ハノイの日本食や有機食品を扱う商店で見つけた品です。

*ココナッツ、ほうれん草、黒ごま、わかめのラインナップ



肝心の味は、正直かなりプリミティブで、食感は硬めなんだけど、好きな人はきっと好き。ベトナムでも健康志向の人が増えているとは聞いていましたが、ここまで突き詰めた商品を、しかもお洒落なパッケージで販売していることに驚き。



今、「日本の安心安全で健康寄与するものが欲しい」というベトナム側と、「ベトナムの有機食品の仕入れに関心がある」という日本側の双方のニーズが私の元に届いており、両国の様々な商品を吟味しています。

ベトナムの有機農業は国家プロジェクトとして今後素早いスピードで普及していくことが予想されていますが、日本はどうでしょうか。オリンピックに向けて世界基準のアスリート食を確保するため、有機食品への関心が高まっていますが、それでも有機農法を行っている日本の土地は1万ヘクタール。今年のオリンピック開催地ブラジルは70万ヘクタールまで増やしたと聞くと、到底間に合わないことは明らかです。

今はベトナム側の日本食へのニーズがその逆を上回っていますが、そう遠く無い時期に逆転現象が起こるのかもしれません。安心安全で、美味しくて、パッケージもおしゃれな海外の食品が、日常に溢れるような時代はそこまで来ているのかも。

2016年12月21日水曜日

想いを預かりました!

農家から耕作放棄地を借り受け、有機飼料で育てた豚鶏牛由来の堆肥や、有機米の籾殻由来の肥料を用いて育てたケールで青汁を製造している、愛媛県東温市にある遠赤青汁株式会社の高岡照海社長と営業企画部の日野厚志さんに会いに行きました。身体に良いものを提供するだけでなく、障がいを持った方の雇用や太陽光発電など、地域社会と自然環境の持続可能性をとことん追求する遠赤青汁株式会社の活動と商品力に対する認知は、今や世界に広がっており、海外の医療機関からも注目を集めているそうです。また、この度日本では、遠赤青汁の商品が機能性表示食品にも認定されました。来週は、今回いただいた遠赤青汁がもたらす効果を化学的に説明する研究資料や、桜を世界に寄付する活動などの資料を携えてホーチミンに渡り、ベトナム政府の農業研究所、有機食品認証団体を訪問します。高岡社長の熱い想いをしっかり伝えることができるよう、資料を読み込んでおきたいと思います。

これまで3,000本の陽光桜をアフリカ大陸からアメリカ大陸まで
世界数十カ国に寄付されています。


高岡社長と。後ろに見えるのはソーラーパネル。従来のものとは異なり、背が高く、隙間がたくさん空いているため、発電しながらパネルの下で作物を栽培することができるという、名付けて「ソーラーシェアリング」。

2016年12月15日木曜日

心の距離を縮める

中小機構主催のセミナー「越境EC成功への10ポイント」に参加しました。Nourish Japanが直接的に越境ECを始める予定はありませんが、より効果的な海外展開支援のために学んでおきたいと考えました。講師の村田光俊氏(株式会社プリンシプル代表)はコンサルタントとして、数々のECビジネスを成功に導いてきただけでなく、ご自身が、マーケティング、サイト作成、プロモーション、配送、クレーム対応までをトータルに行う、国内ECサイト、実店舗、越境ECに取り組むビジネスのオーナーでもあります。そのため、失敗・成功事例も感情のこもったリアルなものであり、マーケティングのための情報分析方法も実践に基づく明解なもので、私のような初心者でもすぐにでも始められそうだと感じました。関西弁の語りも面白く、あっという間の3時間でした。

そんな村田氏のお話しで心に残った言葉は「越境ビジネスではお客様との心の距離を縮めることが大事」という言葉です。技術革新により、どこにいても商品を選び注文ができる時代です。アマゾンでは3時間以内に商品が届くサービスも始まり、モノやそれらの販売者と消費者の物理的な距離はどんどん縮まっています。では心はどうでしょうか?SNSでつながったからといって、相手との関係が急に深まったりすることが無いように、単にネット上で商品を閲覧できることで消費者の心が動いたりはしないのです。

では心の距離を縮め購入へのアクションを起こしてもらうために、何ができるのか。顕在的な取り組みとしては、その商品を手に入れることで何が起こるのかを動画なども用いて丁寧に伝える工夫。また商品そのものの物語だけではなく、販売している企業や人物の想いや物語も綴る。潜在的な取り組みとしては、顧客への個別対応が挙げられていました。例えば特別な情報を特定の人だけに提供したり、プレゼントを贈るなど。売り上げを伸ばしているサイトは見えないところでこういう取り組みを行っていたりするそうです。

とにかく一言で言えば、ターゲット国や人々の消費行動をどれだけ理解し、ニーズを満たす商品開発やアプローチができるか。日本企業の海外展開にありがちな、「こだわった日本のものだから海外の人が喜ぶだろう」「既存の情報を翻訳すれば伝わるだろう」では遠く離れた人の心を動かすことはできないのです。肝に銘じておきたいと思いました。

写真は全く関係ないですが、ハノイの夜。ベトナムをターゲット国にするのであれば、いつも心はベトナムに・・・。^^



2016年12月12日月曜日

"路上生活から一流ホテルまで”を支援

路上や養護施設で暮らす子どもたちに、2年間の集団生活の場を提供し、基本的なライフスキルに加え、調理技術やレストラン運営、ITスキル、英語教育を提供し、就職までを支援するベトナムのNGO「Koto International」を訪れました。

この団体は、オーストラリアで生まれ育ったベトナム人Jimmy Pham 氏によって設立されました。1996年、旅行でホーチミンを訪れたジミーは、路上で生活する子どもたちに衝撃を受け、まずは子どもたちにシャワーを浴びさせ、十分な食事を提供する活動から始めました。その後オーストラリアとベトナムを行き来しながら活動を続けた後、ベトナムに拠点を構え本格的な活動を行うことになるのですが、そのきっかけは、子どもたちの‘We need skills so we can find stable jobs’(私たちに必要なのはスキル。そうすれば安定した職が得られる)という言葉だったそうです。その言葉を受け、Jimmyは、まず9人の研修生と共にサンドイッチショップを始めたのです。

その活動が発展し、現在では、ハノイとホーチミンに研修学校とレストランを構え、16歳から22歳までの100名の若者が学んでいます。300名を超える卒業生は有名レストランやホテルで活躍する他、海外に留学してMBAを取得したり、Kotoに戻りスタッフとして活躍する人も多数いるのだとか。レストランの料理やサービスについての評価も大変高く、Trip Advisorでも優秀店に認定されています。


現在Koto Internationalでは、研修生の海外研修の受け入れ先を求めています。向上心高く、調理やレストランビジネスの知識・スキルを有したベトナム人の若者を育てることで、社会貢献、自社のビジネス開発や人材育成につなげたいという日本のホテルや飲食業界の方、ご興味があればnourishjapan@gmail.comまでご連絡ください^^/

キッチンの様子。


3階建ての素敵なレストラン。ベトナムで一番古い大学跡地に面していて
ランチとディナーは観光客で混み合います。


3階はKotoの歴史を知ることができるミュージアムのようになっています。


100ドルの寄付でレンガに名前が刻まれ「Dream Builder」になることができます。


スタッフの皆さんと。


  Kotoのウェブサイトhttp://www.knowoneteachone.com/





2016年12月10日土曜日

ベトナム人の言語力の高さを実感

ハノイの訪問先で迎えてくださる組織の代表者やスタッフのみなさん。海外経験がほとんどor全く無いにも関わらず、英語が堪能で、中には日本語を話す人も。そしてみなさん若いのに責任のある仕事をまかされている。そういえば通訳者のタイくんも、高校まではずっとベトナムで教育を受けたのに、今や4か国語を繰る。これは、ベトナムの言語教育が成功していることの表れなのか、それとも、私達が国際的な職場を中心に訪問しているからこそ感じることなのか、気になってちょっと調べてみると、予想を裏付けるような結果が・・・。

毎年世界各国の英語能力ランキングを発表しているEF EPIの最新レポート(http://www.efjapan.co.jp/epi/)によると、2015年のベトナムの英語能力は72か国中31位で「標準的」との評価。近年順位を飛躍的に上げているそうです。一方日本は35位の「低い」という評価で近年下降傾向。ベトナム人の飛躍的な英語能力向上の背景について、EF Education Firstは、初等教育からの英語教育の取り組み、オーラルを重視した授業展開等を挙げています(http://english.cheerup.jp/article/400)。また、ベトナム政府は英語教師教育にも大幅な予算を割いているとのこと。

日本政府も、英語教育改革には相当な力を注いでいるはずだけど、この差の主たる要因は何でしょうか?自分の可能性を広げるために、大学時代にあらゆる経験をしたと語る若者や、「いつかは英語力をつけてガイドになりたい」というタクシー運転手と話していると、彼・彼女らは、言語力を高めることが自分の人材価値を高めるという認識を日本人よりも強く持っているのではと感じます。人口が増え、平均年齢が28歳という国であり、世界各国から人が流入するベトナムにおいて、国際力を身に着けることが成功の鍵であると認識するのは、自然な流れなのかもしれません。




学校の授業だけで高い英語力を身に着けたHaさん、そして通訳のタイくん



海外経験ゼロだけど、アメリカ領事館でインターンシップを経験し、ベトナムの若者代表としてオバマ大統領とも会議で同席したLinhさん





自分は学生時代に海外経験ができなかったことから、若者の国際力を養う団体を立ち上げたMoさん

2016年12月9日金曜日

ベトナムの”栗原はるみ”

2週間前、ホーチミンのイベントで私たちのブースを訪れてくれた女性。「ハノイに住んでるから来ることがあったら連絡して」という言葉を信じて会いにいくと、実は彼女、世界的に著名なテレビ番組「マスターシェフ」の、ベトナム人シェフTOP5に選ばれたという、料理研究家Vu Thi Ngoc Aiさんという方でした!

Jica駐在員家庭などで料理人として働いた経験を多く持つほか、日越の交流イベントや大使館でVIPの食事を担当し、ベトナム人や日本人を対象とした料理教室も展開されています。化学調味料を極力使用しない彼女が注目しているのは日本の素材。特に私たちが紹介している(株)ウィルビーさんの「やるまるだし」を、是非多くの方に伝えたいとのこと。

世界中で和食人気が高まる一方で、日本食が手軽に家庭料理として普及していくには(私たちが時々ピザやパスタを家庭で作るように)、ただ商品を店頭で並べる以上の工夫が必要だと常々感じていました。両方の食文化やスキルを活用して新しい価値を生み出すAiさんのような方と一緒に活動することができたら、その課題もクリアしていけそうです。今後の共同についても相談をすることができました。

写真はAiさんと彼女の著書。






2016年12月8日木曜日

モノよりコトの消費が始まっています。

ハノイのジャパンブランド発信地「サクラステーション」ヘ。ここは、可処分所得が同世代の日本人より高いと言われる主にベトナム人子育てファミリー層が暮らすタワーマンションの2階に位置しています。

空港ラウンジのような空間を取り囲むように、ショップ、カフェ、居酒屋、日本語スクールがあり、これから更に子どもを対象とした、ダンス教室、料理教室、スイーツ専門店、脳力開発スクールなどの運営が始まります。そう、ベトナムの富裕層では、すでに「モノよりコト」の消費が始まっているのです。

併設の居酒屋「三陸」では美味しい鯛めしも食べることができたりして、マーケットの可能性を実感する一方で、さて、今更日本から何をもっていけば喜ばれるのか、頭がフル回転しています。

サクラステーションの皆さま、長時間お付き合いいただき、ありがとうございました!


2016年12月5日月曜日

「産業・組織心理学研究」に拙著論文が掲載されました。

横浜国立大学安野先生と、京都外国語大学の岸岡先生と共に、12名の学生リーダーを対象に調査を行ったのがおよそ3年前。取得したデータをまとめて初稿を完成させ初投稿したのが2年前。それから何度か突き返され、推敲を重ね、やっと出版に至りました。雑誌掲載にこだわったのは、「リーダーシップは”ある、ない”ではなく、誰の中にも育てることができる」というメッセージを、特に人を育てる立場にある方々に広く伝えたいという願いがあったからです。

様々な経験、振り返り、メンターとの関わり、off-JTなどの学びを得ながら、人は物事の捉え方を変え、徐々に自己のこれまでの考え方や行動を手放し、新しいあり方(being)への試みが生まれます。「新しいあり方への試みが受容され、肯定的なフィードバックが得られた時、自己効力感が増し、その試みはリーダーシップ能力として定着」していく・・・。12名のリーダー達の半生が伝えています。最初から立派なリーダーだった人は誰一人いない。ご協力いただいたすべての皆様に心から感謝しています。


2016年12月1日木曜日

最高のプレゼント

二つの国で、二つの制服を着て高校生活を送った娘が、無事12年生を卒業し帰ってきました。何度も挫折しそうになり、スカイプで喧嘩し、泣きながら宿題に頭を抱えた日々が、気がついたら終わっていました。娘の次のステップは、希望の大学に志願するためのポートフォリオ(作品集)作成で、そのための学校に春から通います。

*二つの学校の制服。右はマレーシアの高校。左はニュージーランド。名前入りパーカーだけという気軽さ:



久しぶりに長期間娘が家にいるという感覚。以前よりも楽しめるのは、きっと彼女が精神的に成長し、私のあれこれを受け止めてくれるようになったからなのでしょう。息子たちも何か吹っ切れたような娘の明るさに吸い寄せられ、リビングに以前にも増して集まるようになりました。

今日は私の47回目の誕生日。シャワーも浴びず、化粧もせず、着替えることもなく家で過ごし、娘と一緒に最近の私たちのお気に入り「Valentine」なんかを熱唱するという、最高のプレゼント。娘を支えてくれた全ての人に感謝しています。