2018年2月4日日曜日

人生100年時代に求められるキャリア教育

1月26日付NYタイムズの記事によると、米国イェール大学にて今期開講した授業「心理学と良い人生(Psychology and the Good Life)」に、316年の大学史上最多の1,200名が履修登録を行ったそうです。学部生の4人に一人が受講している計算。

この授業の指導教員であるLaurie Santos氏は、入学してくる学生たちは、それまでの努力において、自分の幸せを後回しにしてきたと述べていますが、実際イェールでは、50%以上の学生が、在学中にメンタルヘルスに関する支援を求めているのだとか。

この授業では、幸せの要素として学生が思い浮かべる、良い成績、華やかなインターンシップ、実入りの良い仕事等でなく、人を真に満たすものは何かについてポジティブ心理学を通して理解を深め、更に行動変容の方法についても学びます。

記事にもありますが、ポジティブ心理学を扱う授業は近年ハーバード等他大学でも人気で、実際、甥っ子が通う米国の大規模総合大学でも、「幸せの科学(The Science of Happiness)」と題した授業は一番人気だそうです。


「ポジティブ」という言葉から連想される、ただ楽観的に、前向きに生きるとかではなく、感情の扱い方、モチベーションの維持、逆境に立ち向かうことの意味、他者との関係性などについての学びを通して、どうすれば日々豊かな気持ちで生きることができるかについて学ぶこのような授業は、仕事だけが「メイン」になり難い人生100年時代に求められる重要なキャリア教育の一環であると感じています。




2018年1月15日月曜日

ポーランド人「親日感情の原点」はMATSUYAMA

昨年11月に続き東欧に来ています。前回は初めてということもあり、目的地にたどり着くことで精いっぱいでしたが、今回は仕事の合間にポーランドに滞在する日本の方とゆっくりお話しする時間を持てました。そんな中知ったのは、私の故郷愛媛県松山市はポーランドの人にとって特別な場所であるということ。

松山に住む人ならよく耳にする「ロシア兵墓地」。ボランティアで清掃活動に参加したことがある人も少なくないでしょう。この場所、実は「ロシア人墓地」の名で知られていますが、2008年、ワルシャワ大学の研究者らの調査で、ロシア兵として戦ったポーランド人12名が埋葬されていることが明らかとなり「ロシア兵・・・」と改称されることとなりました。

「世界はこれほど日本が好き」(河添恵子、2015)によると、日露戦争開戦当時、日本に収容された捕虜の数は7万2千人。その中の4700人がポーランド人だったとされており、松山市内には、埋葬されている方々以外にも100名以上が滞在されていたそうです。ポーランド人に限らず、捕虜の方々の生活ぶりは陸軍の報告書などに記されており、多くの文献等で紹介されていますが、「場所は収容所生活」という言葉から想像されるものとは異なり、滞在場所は公共の施設や民間の建物。温泉での傷病者の慰安と治療、病院には娯楽室、祈祷室、テニスコート、ジムが設けられ、一般市民も日用品、飲食物、たばこなどを持って慰問に訪れたそうです。

この背景にはその当時日本が史上初の傷病者保護条約であるジュネーブ条約に加盟し、その普及に尽力していたことがあるそうですが、愛媛県は何度も松山に「捕虜は罪人ではない。祖国のために奮闘して敗れた新庄を汲み取って屈辱を与えるような行為は厳に慎め」との訓告を発していたそうです。愛媛のおもてなし精神の表れでもあるでしょうか。

捕虜の中には日本帰化を望むものや、日本人女性との結婚を考える人もいたのだとか(松山でのロシア兵と日本人女性の恋の物語は最近ミュージカルとなり、1年間上演されていました「誓いのコイン」坊ちゃん劇場) )。

愛媛に限らず日本全国29か所の収容所に滞在した数千人のポーランド人の多くが日本に好印象を抱いて帰国し、そのことが現在の親日感情の原点になっているとも言われていますが、開戦当時の前線における投降への合言葉が「MATSUYAMA」だったと聞くと、松山の貢献は少なくないことが解り、嬉しい気持ちがします。

今回お話しをお聞かせくださったワルシャワ日本語学校の坂本龍太朗先生によると、「ポーランド人は日本に片思い」なんだそうです。ポーランド人の思いとはよそに、日本はポーランドにあまり関心を向けていないのだとか。せっかくの歴史的つながりを絶やさないように、坂本先生と一緒にこれからも活動をしていきたいです。

ワルシャワ旧市街地


2018年1月12日金曜日

2017年人の幸せに関する発見ベスト10

米国のカリフォルニア大学バークレー校にある、人の幸せを追究する機関「Greater Good Science Center」は、毎年その一年で発表された、人の幸せ、充実した生き方等に関する研究で、最も刺激的で影響力があるベスト10を発表しています。2017年の研究についても350名の研究者からの回答に基づいた大変興味深い結果が公表されています

1.「人の感情はこれまで理解されていたよりももっと豊かであり微妙」       幸せで意義深い人生とは、ただ良い気持ちになるだけではないというこれまでの見解を指示する研究結果。入りまじった感情が健康や幸福の鍵であることを示しているか。。 

2.「人生における目的意識が必要なのは若者だけではない」            中高年(32歳から83歳まで)までを対象とした調査において、目的意識の高い人ほど認知スキルが高く、睡眠の質や健康状態が良いことが明らかに。

3.「マインドフルネスと瞑想の効果は思った以上に未知数」
マインドフルネスについては定義そのものが研究者や実践者の間でも様々。瞑想はストレスの原因になる場合も。科学的な効果が実証される一方で、万人に適応できるわけではないという調査結果も。

4.「人との付き合い方や性格は変えられる」
幼少期の養育者との愛着がその後の人生において他者を信頼することや、心地よい関係を構築することにおいて重要だとする従来の考えが根強い中、パートナーとのヨガなど、親密性を養う活動を通して、回避的なコミュニケーションスタイルを持つ人が良い方向に変化することができることが明らかに。

5.「音楽は人をより創造的でマインドフルにする」
創造力を試すテストにおいて、音楽を聴いたグループは(その音楽が好きか嫌いかに関わらず)発散的思考や想像的アイデアの思い付きに長けていた。合唱は精神的健康をもたらすとの結果も。

6.「他者を気遣うことが自己のレジリエンス向上に効果」
他者を助けること(オンラインで他者の悩みに対してコメントすること等)は、自己の充足感を高め、難しい状況において感情の調整を行う力を養う可能性も。

7.「携帯への過度な注意が関係性に悪影響をもたらす」
コミュニケーションの相手が携帯電話に過度な注意を払うことにより阻害感を感じた人が、その疎外感を埋めるために他者からの注目を求めてソーシャルメディア多用し、結果そのことが別の誰かの疎外感を生むという悪循環も。

8.「職場の親切は感染する」
職場にてコーヒーをごちそうしたり、御礼のメールを送るなどの親切行為を週に5回1か月間実施した集団の生活と仕事への満足度は高まり、親切行為を受けた集団の幸福感もその1か月後に高まるだけでなく、その集団にも他者への親切行動が現れ始める(ペイフォワード現象)。より親切で慈悲深い職場環境をつくることは可能。

9.「多様性のある学習環境はどんな人種の学生にもプラス効果」
米国の4300人の中学生を対象にした調査によると、クラスの多様性が高ければ高いほど、どの人種の生徒も不安や孤独感を感じることや、いじめに合うことが少なかった。スウェーデンの移民反対派が多い地域においても、移民の生徒と触れ合う機会が、地元出身の子どもたちの差別を軽減することが明らかに。

10.社会性と情緒を養うプログラム(SEL)の効果は長続きする
様々な国の幼稚園から高校までで実施されているSELプログラムを検証した結果、プログラムによる。コミュニケーション力向上、向社会的行動の高まり、成績アップ、不安やストレスの軽減などの効果は、プログラム受講後も1年から4年近くまで持続することが明らかに。
  
記事はこちら:Greater Good Science Center

手を組んで歩く楽しそうな子どもたち@美術史美術館 in ウィーン

  

2018年1月10日水曜日

スリムダウンで得たもの


契約満期に伴い、11月頭、過去10年間住んだ戸建ての借家を離れ、市内中心部の賃貸マンションに引っ越しました。夫も私もアラフィフで、いつまでも自転車で走り回るわけにはいかないだろうというのも理由の一つ(我が家にはマイカーはありません)。新居は、これまでの戸建てに比べ部屋数も少なく、床面積も三分の二程度ですが、住み始めて2か月の感想は「大満足」。どこにでもアクセスが良い立地もさることながら(職場も銀行も図書館も税務署も法務局も市役所も近い!)、所有物をスリムダウンしたことで、何がどこにあるか明確で、探し物をする時間が圧倒的に減り、余計な行動と思考が減ったことが嬉しい。実際、仕事の段取りも以前より効率的になり。今年のお正月は年賀状を事前に準備する余裕も、”なんちゃっておせち”を作る余裕も生まれました。

また、家族の距離がぐんと近くなったことが二重丸。以前の住居ではテレビがアンテナにつながれておらず、家族が個別に所有するタブレットやPCで別々のものを閲覧していて、同じ屋根の下にいるけど「心ここにあらず」ってことも少なくありませんでした。でも今回の家ではケーブルテレビが装備されているため、こじんまりのリビングにデーンと鎮座するモニターに映し出される映像に、いやおうなしに全員が目を奪われ、結果みんなで同じものを観て盛りあがったり、意見交わしたり。みんなでソファにギュギュっと座って「テレビ回帰、意外といいね」。昭和の実家をちょっと思い出す・・・。

今回の引っ越しでサヨナラしたものは、食器棚、洋服だんす、湯沸かしケトル、食器乾燥機、デスクトップ等々。長男が帰国したらどこに寝るって課題もあるけど、終活に向けての第一歩かな。このまま年と共にシンプルに、自由な方へ向かいたい。そして、それより何より、オーナーが素敵な方。感謝を感じながらの日々。そんな我が家に後ろ髪ひかれながら、今年最初の出張に行ってきます。



2018年1月3日水曜日

2018年は織りはじめの年。

新年あけましておめでとうございます。新しい年を迎えたことと、久しぶりのブログ更新ということもあり、現在進行中の事業や活動について、自分の中で整理するために「布を織る」ことに例えて俯瞰してみました。少し長めです。

「いろんなことやってるね(ちょっと困惑気味に)」。最近よく言われます(汗)。「確かにそうだな」と自分でも思います。創業2年目の今年、交わした契約は、輸出関連1件、輸入関連1件、人材関連3件、教育機関1件。加えて大学からの委任もありました。契約相手は日本も含め3つの国。活動場所は7か国にまたがります。それぞれの活動内容は異なりますが、どれも、異なる国や地域が持つ資源(人やもの)を活用することで「持続可能で豊かな社会を創造する」という自分の理念に合致するものです。

ただ、2016年の初旬頃まで、それらの事業・活動はアイデアレベルに近いもので、モワっとした丸めた複数の羊毛の塊のようでした。そして春ごろから素晴らしい出会いに恵まれたこともあり、少しずつ(本当に少しずつ)それぞれの羊毛から糸が姿を見せ始めました。ただ、まだ糸の長さも十分ではありませんし、どの糸をどれだけ使ってどのように織っていくかまでは描き切れていません。しかし、今はそれらの糸を組み合わせて、自分にとって意味のある「布」に織り上げていけるような気がしています。そして糸を織り合わせる動作を例えるなら、それはひたすら「実践と教育(または理論)」の往還です。

活動の成果である「布」はただ出来上がればいいというものではありません。持続的で安定した「作業」を通して、ムラの無い、美しい布に仕上げていくことが必要です。そのために今年学びを深めたいのは「ポジティブ心理学」です。一般的に広まっている何でも肯定的にとらえる「ポジティブシンキング」ではなく、「人生を真に充実したものにするのは何か」という問いのもとに、幸福、希望、感情、愛、フロー、強み、レジリエンス(回復力)、モチベーション、価値観、人生の目的などについて研究する心理学です。

松山大学の心理学の授業では、これまで以上にポジティブ心理学に焦点を当てていきたいですし、愛媛大学の留学生を対象としたキャリア教育や海外での人材ビジネスでは、社会で幸せに機能し続けるための知識として提供・活用していきます。輸出入ビジネスでは、顧客やパートナーと良好な関係性を築き成果を出すために重要な鍵となるでしょう。

かなりきれいに描き過ぎましたが、一番は自分を奮い立たせるため。まずは一つ一つの動作を丁寧に。。。支援してくださる方への感謝を忘れずに、今年も歩みを進めたいです。